お菓子の想い出「年に一度のアイス婆ちゃん」

夕陽

夏休み時期が終わり9月に突入。朝の通勤時に車を運転していると、元気に学校へ向かうこどもたちを大勢みかけます。ああ、この子たちの夏休みは終わったのねえと一人物思いにふけりながら運転しています。

夏休みのことがふと頭に浮かんだので、遅ればせながらお菓子の想い出夏休みバージョンを振り返ろうと思います。ぼくが過ごした夏休みで一番想い出に残っているのは、小学2~4年生。

ぼくにとっての夏休みとは、アイス食べ放題ができる休みなのです。小学生のころ祖母と一緒に生活していまして、この祖母が孫の夏休み時期にアイスを大量に買ってくれました。孫へのご褒美だったのでしょう、年金をはたいて一度に大量のアイスを買ってくるのです。

おかげで家族の多い我が家の冷凍庫はアイスで満杯。いま思えば、そのころ母は冷凍すべき食品をどこに閉まっていたのだろう?と、そう思ってしまうほど、大量のアイスが埋め尽くしていました。こどもたちはテンションマックス。

ぼくはそのとき興奮をどう表現していたんでしょうか。それは覚えてない。覚えているのは、毎日色々な種類から好きなアイスを選ぶときのワクワク感。だれでもこどもだった時代があるから、この興奮がおわかりいただけるでしょう。アイスじゃなくても、好きなお菓子を選ぶときのワクワク。

この冷たいワクワクがぼくの夏休みのメインイベントでした。「やったー、アイス食べれるー。アイス婆ちゃんやー」とこどもながらに思ったものでした。そのときはアイス最高!ただそれだけで、婆ちゃんの気持ちとか全然考えなかった。

年を重ねてようやく、祖母は一体どんな思いで孫たちにアイスをふるまっていたのだろうと考えるようになりました。80代の小柄でぽっちゃりした祖母がテクテクと歩いていくわけです。何を考えてスーパー袋に詰め込んだ大量のアイスを持って帰ってきたのでしょうか

ちゃんと聞いておけばよかったなあ。「ねえ婆ちゃん、何で毎年アイスば買ってくれると?」って。もしかしたら「婆ちゃんとアイス」という珍話を聞けたかもしれないし、「婆ちゃんと孫」という感動話を聞けたかもしれない。ああなんてもったいないことを。

大人になって夏休みを振り返るとき、アイスだけの想い出だったのが、そこに婆ちゃんという存在がグッとくい込んでくるようになりました。

そんなアイス婆ちゃんは、ぼくが4年生のときに亡くなりました。なので次の年の夏休みから我が家の冷凍庫はガラガラ。婆ちゃんがいなくなってからも、夏休みの時期に冷凍庫をあけるときにはきまって「婆ちゃんが毎年大量に買ってくれたよね」と思い出していました。

たかがアイスされどアイス。こどものころの印象的な出来事は、大人になっても変わらず鮮明に残るのです。婆ちゃんから孫へのプレゼントのことを、いまでも語り続けていますよ。そしてこの先も絶対に忘れないでしょうし、ぼくの人生を豊かにしてくれるひとコマであり続けるでしょう。

ありがとうアイス婆ちゃん。

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