「人柄の良さは経験・努力しだいで身につく。でも時間がかかる」ことについての話をば。思いついたことを忘れないうちに書いておきます。
今日車を運転していましたら、いつも我が家に配達に来てくれる田中さん(仮名)を見かけました。感じのよい人で好感の持てる30代の男性。人柄が良いなぁといつも思っています。
別の地域を配送しておられたようで、路肩でトラックから荷物を出してるところでした。
「あ、いつもの配達の人だ」と思って見ていましたら、そのそばを一人の女性が通りかかったんですね。
女性は田中さんに満面の笑みで手を振って通り過ぎて行かれました。我が家と同じように、田中さんが担当される区域の人なのでしょう。田中さんは人気者なのかも。
田中さんは女性にペコペコと頭を下げて、同じく笑顔で対応。どこででも感じの良い対応をしておられるんだなと思いました。自分の知ってる人が、ほかの場所でも良い感じだと嬉しくなりますね。
こういうなんて言うんでしょうか、人柄の良さというものはどうしたら身につくんでしょうか。「田中さんの生まれ持った特性なのだろうか？」と考えてしまいました。
生まれつきのものではないでしょうね。田中さんがどういう過去を持っておられるかは知りませんけども、人柄がよくなるように努力されたはずです。どうすればお客さんを喜ばせることができるのか、地域に密着した配達ができるか、どんな笑顔がいいかとか振る舞いはどうするとか。そういうものを自分なりに考えられたに違いありません。
もちろん四六時中ニコニコしているわけではないでしょう。配達員としての仕事上での振る舞いというものはあります。でも人の内側にあるものが表に出るので、全く嘘をついて演じるということはなかなかできないです。心にあることしか口から出ないのと同じく、内面が表情や振る舞いに必ず出ます。
自分の意識、外的な経験、そして時間が経つにつれて田中さんは良い人柄を身につけ、それが滲み出るようになったのではないかなぁと、わたしは思っているのですが……
「時間が経つにつれ」と書きました。時間はねぇ、やっぱりかかると思うんですよ。
旧約聖書にモーセという人物の逸話がのってまして。イスラエル人の指導者として民を守った人物。昔、十戒という映画が流行りましたので、それで知った人もいるかもしれませんね。
聖書中でモーセについて「地の表にいるすべての人の中でとりわけ柔和な人物であった」というくだりがあります。これはモーセが80歳を超えた時のこと。そこまで高評価のモーセですが、じつは昔は義憤でカッとなり自分をコントロールするのが難しい人物だったのです。
モーセが40歳の頃の出来事。場所はエジプト。当時、イスラエル人はエジプト人の奴隷として、キツイ仕事をしていました。そんな日々のなか、モーセは同胞のイスラエル人がエジプト人から虐げられているのを目にします。
で、何を思ったかモーセ、このエジプト人を殴り殺してしまったのです！仲間を守りたかったのでしょうね。モーセにしてみれば正義の鉄拳だったのかもしれませんが、殺してはあきません。
40歳といったら、もう立派な大人ですよね(立派かどうかは本人しだいだけども)。仲間がやられていると、殴り殺してしまうぐらい自分の感情をセーブできなかったわけです。そういう人格というか気性だったのですね。その後、モーセはエジプトにはいられなくなり、逃げるようにして去り、40年ぐらい羊飼いとして生活するようになります。
そんなモーセが80歳をこえてなんと呼ばれたのか。そう、さきほどの「地の表にいるすべての人の中でとりわけ柔和な人物であった」です。40歳から80歳になるその人生の中で、色々な経験を積んで時間とともに穏やかさを身につけていったのでしょう。
歳とともに角が取れて丸くなるというのもあるかと思いますけども、それでも短気な老人というのは世の中にいますので、モーセは自然と良い人柄に変化したのではなく、自分を磨いた結果なのでしょう。殴り殺したシーンを何度も思い返し「感情にまかせて行動することの愚かさ」について何度も考えたかもしれません。
そうやって自分の内面と向き合い時間と共に、人柄の良さが滲み出るようになったのではないかと思います。やはり時間はかかりますよね。一朝一夕でいい人になるわけはないです。
配達員の話から旧約聖書時代の話に飛んじゃいましたね。
人柄の良さというのは、生い立ちや育った環境できまるわけじゃない。誠実な人になりたいとか温和でありたいなどという自分の意志と時間によって身につけることができるものだと思います。
自分はちょっと短気だとかそんなに人柄がよくないなぁと嘆くことがあっても、年齢を重ねるごとに成長していけるものだと思い、前向きに考えた方が良いよなぁ。
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