長崎の郷土食を残そう!かんころ餅づくりの現状と昔ながらの作り方を聞いてきた

網にのせた焼いたかんころ餅

長崎県の郷土食「かんころ餅」をご存知でしょうか?日本で最初にサツマイモが入った長崎県ならではの郷土食。

スライスしてゆでて干したサツマイモ「かんころ」とお餅をつき合わせたものです。昔もいまも長崎県五島列島でかんころがつくられています。

サツマイモにもシーズンがあるため、かんころがつくられるのは冬です。

わたしはこれまで21店のかんころ餅を食べてきたのですが、聞くところによると50以上、かんころ餅をつくるお店があるんじゃないかとのことです。

 

そんなかんころ餅を長崎生まれのわたしは好きでして、このブログでもたびたび紹介しています。

かんころ餅のことをブログで書いていましたら、ある日突然、長崎県佐世保市にあるお菓子屋さん、草加家の社長・高木さんからメッセージをいただきました。しかも2度も。

嬉しさのあまり「長崎帰省のさいにお会いできませんか?」とアプローチしたところ快諾してくださいまして、昨年12月にお会いしてきました。まさかこんなことが起こるとは!ブログやっててよかった~。

嶋田コータローと草加家社長・高木龍男さん

と、前置きが長くなりましたが、今回のブログは、高木さんからお聞きしたかんころ餅のお話しとわたしが感じたことです。

お会いした率直な感想は「かんころ餅づくりにものすごい情熱をもっておられる方。かんころを作る(餅じゃなくてサツマイモのほうですね)生産者さんを守りたいと強く思い行動しておられる方」、そんな印象を受けました。

5時間以上にわたりずっとかんころ餅のお話しをしてくださり、よい意味で圧倒されました(笑) いや~、ホントすごかったです。

 

かんころ餅を愛し守りたいがゆえにとでもいいましょうか、現状を率直にシェアしてくださいました。

かんころとかんころ餅づくりの現状

驚いたのが、昔ながらのかんころ餅をもう食べられなくなるんじゃないかということ。かんころをつくる生産者さんの高齢化、また後継者がいないことが理由の1つです。

そして、(こっちのほうが問題だと思うが)かんころが安くで売られているという現状があります。

昔のかんころ餅というのは、つくったほとんどを親戚や知人に配るためのものであり、商売目的じゃなかったんです。

一冬で200、300本のかんころ餅を作り、それを親戚に配る習慣があったそうです。それがいつからか売られるようにもなっただけなので、もともと農家さんの意識の中にも商売気がなく、サツマイモやかんころを高く売ろうという考えがなかったのだろうと思います。

聞いたところによると、昔は余ったかんころを製造業者が安くで買っていたとのこと。

それが当たり前となって現代まで続いてきたわけで、かんころをつくる生産者さんは労働に対する対価をもらえていないのが現状です。かんころをつくる様子を写真やビデオで見せてもらいましたが、重労働ですよ泣

そうかといって、いまさらかんころの値段をあげるのも難しいでしょう。

これだけ安く(どのくらいの値段かは書きませんが)買われてきたので、いまになって一つの会社が高く買うと、市場値段がおかしくなる。〇〇店はかんころ餅を1000円で売る。一方で〇〇店は500円で売る、みたいなかんじになり得ます。

食べる側としては安いほうがいいけど、そういうかんころ生産者さんの話を聞くと、勝手ながら「皆でもっとかんころを高くで買ってあげたらいいのに!」と、素人意見ですが、思ってしまいました。

かんころの作り手を守るとか、適正価格を考えるとかしないと、今後さらに厳しくなっていくんじゃないでしょうかね。

手づくりと機械化のはざまで・・・

生産者さんの話しに加えて、もう1つわたしの興味を引いたのが、かんころ餅づくりの機械化です。

昭和55年に、かんころ餅業界にかんころと餅を練る機械が導入されたとのこと。なので、昭和55年以前と以降のかんころ餅とでは、例えばやわらかさも違うそうです。

機械のかんころ餅はやわらかく、かんころの量も違います。

かんころが固いと機械がスムーズに動きません。なので機械に合わせなければいけなくなります。どうなるかというと、機械に合わせて芋の量や水の量を調整するわけですから、変にやわらかくなってしまったりするんですね。

それから、かんころ餅を乾かす機械。(これがいつ導入されたのか、どのくらいのかんころ餅製造業者さんが使っているのかはお聞きしませんでした)

昔ながらのかんころ餅は、かんころを3~5日かけて天日干しにして風で乾かします。(なのでかんころを置く場所や風向きが大事) それによってかんころの旨味と甘味が出るんですね。

一方で機械のほうは2日で乾きます。もちろん天日干しじゃないです。どちらがいいという言い方はしたくありませんが、やはり味に違いが出てくるでしょう。

 

あ、なにも機械化がすべてダメとかそんなことを言いたいわけじゃないですよ。時代とともに作り方も変わっていくでしょう。

ただ、わたしは現状を知ってもらいたいのと、効率が悪くても儲けが少なくなっても(言い方があれですが)、守るべきものは守らないといけないのではないかと思い書いています。

昔ながらのかんころ餅づくり~生産方法~

かんころ餅づくりの現状について書いたところで、ここからは「昔ながらの生産方法」を写真付で紹介していきます。

今度かんころ餅を食べる機会があれば、また友達からお土産でもらったときは「あぁ、かんころ餅ってもともとはこうやって作るのね」と、かんころを作っておられる方々のことに、すこしでも思いを馳せてもらえれば嬉しいです。

以下の写真は高木さんが農家さんを訪ねたときに撮られたものです。

① 手でサツマイモを掘る

お婆さんが芋を入れた籠を背負っている様子

 

② サツマイモを干す場所まで運ぶ

お婆さんがさつま芋を干す場所まで運んでいる様子

芋を掘り、干す場所まで運ぶ作業を年配を方がやっておられます。

 

③ サツマイモの皮をむく

お婆さんが洗ったさつま芋の皮をむいている様子

 

④サツマイモをスライスする

お婆さんがさつま芋をスライスしている様子

 

⑤ スライスしたサツマイモをゆでる

男性がスライスしたさつま芋を大鍋で茹でている様子

 

⑥ 5~10分ゆでたらできあがり

スライスして茹で上がったさつま芋

 

⑦ ゆでたサツマイモを棚に干す

お婆さんがスライスして茹でたさつま芋をカンコロ棚に干している様子

自然の風で乾かすのがおいしいかんころ餅ができる上で重要!!

 

⑧ ようやくカンコロのできあがり!

カンコロ棚に干されているゆでカンコロ

高齢化により、ここまでの重労働をこなす人が不足しています。

 

⑨ かんころと餅米を蒸し、そのご搗く(つく)

子どもがかんころと餅米を合わせ搗いている様子

芋を掘る作業は機械でもよいでしょうが、干して搗く工程は味に差がでるところでしょうから、やはり手作業のほうがいいのだと思います。

わたしは写真とお話でしか、かんころ餅づくりについて知らず、現場の様子や生産者さんの思いなど、あれこれ書けるほど深く知りません。

いずれは、実際に五島へ行って、かんころづくりを見てこようと思っています。またそのときに追記します。

長崎の郷土食を残していこう!

「美味しいかんころ餅が食べられなくなるかも!」という危機感があり、今回のブログを書きました。

ちょっとびっくりするようなこともあったかもしれませんが、決して特定の何かを否定するつもりで書いたわけではありません。

「かんころ餅を盛り上げていきたい!(勝手に思ってるだけだが)」

「他県の人にも長崎の郷土食を知ってもらいたい!」

「長崎のグルメはちゃんぽん・カステラだけじゃなかとばい!」

「日本で最初にサツマイモが栽培された土地の郷土食ばい!」

書いている最中は、そんなことを考えていました。(かんころ餅一つであれこれ考えられる笑)

 

体にやさしく口にもやさしい、そして昔なつかしいという言葉にぴったりのかんころ餅。ちょっと地味な色合いがこれまたいいんです。

素朴でおじいちゃんおばあちゃんや家族で集まった日々を思い出させてくれる食べ物。そんな郷土食は日本の宝です。(言い過ぎですかね)

長崎の郷土食「かんころ餅」がこれからも食べ継がれていくことを強く願っています。

 

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