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又吉さんが遠藤周作の「沈黙」を語っていて驚いた

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又吉直樹さんの新書「夜を乗り越える」を読んでいます。

又吉さんの読書に対する思い、太宰治を初め数々の小説本の感想など詰まってますよ。

又吉さんに興味がなくても、この本の「なぜ本を読むのか」の項は一読に値すると思います。ぜひここだけでもいいから読んでみて欲しいです。

 

急に又吉さんの本について書こうと思ったのは、「沈黙」について言及されていたからです。

沈黙という歴史小説を知ってます?遠藤周作の「沈黙」です。

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遠藤周作「沈黙」 

知らない方のためにすごく簡単にご紹介

 

江戸時代、キリシタン弾圧があっていたときに日本に来た宣教者の葛藤が描かれています。

苦しむ人の前で神は「沈黙」しておられるだけか?という葛藤です。

キリスト教徒は踏み絵を踏んで棄教したいと思っている、だけど宣教師が棄教しなければそれ

は許されない。宣教師は棄教したくない、でも目の前にいる教徒たちが棄教できずに拷問にあ

っている。自分の信仰を固持するべきか、民衆のために自らも踏み絵を踏むか・・・

沈黙(遠藤周作)

沈黙することに何の意味があるのか?

又吉さんが沈黙について書かれていて驚きました。又吉さんもクリスチャン家庭で育ったんですね。

 

「夜を乗り越える」の中で、宗教や神についてずっと考えていたと書かれてあります。恐らく人生の意義とか人間ってなんなんだとか、考えておられたんじゃないでしょうか。

 

ぼくも新興宗教の家庭で育ったので、又吉さんの書いていることが本当に痛いほどわかります。脱組織宗教をしてからのほうが、宗教や神について考える瞬間が多い気がします。何も答えが出ないんだけど、考えてしまう。

 

NHKの新映像の世紀という番組でベトナム戦争の映像がでたときは、その瞬間神のことを考えていました。ご覧になった方いますか?

 

神という方がいたとして、実際あの場面を天界から見てどう感じたのか?あの瞬間に「神様助けてください」と言った子供もいると思うんです。でもそんな願いもむなしく銃殺される。たった7,8歳の子供がですよ。裸の親が裸の子供抱いて逃げまどっているんです。

 

それから40年以上経っても変わらず世の中は動いていて、あの頃と同じように苦しむ人たちがいる。神は沈黙しているだけなのか?沈黙することに何の意味があるのか?

 

あのベトナム戦争で悲しい顔をしていた女の子を見て神はどういう心境になったのか?衝撃的な事件を見聞きするたびに、そんなことをよく考えます。

ちょっとおかしいですかね?

それぞれの宗教観

又吉さんの言葉で特に印象に残った部分を引用して終わります。

人間は迷い、神様は沈黙を保つ。もうそれでいいんだと思うしかありませんでした。「夜を乗り越えて」又吉直樹著

 

キリスト教徒と仏教は、みんな平等とか世界平和とか、基本的には共通することが多いのに、なぜかそれぞれ宗教が分かれていて、お互いが反発しているように見えました。キリストという人とお釈迦様がたまたまどこかで出会ってしゃべったら、絶対喧嘩にならないと思いました。むちゃくちゃ上手くいくはずなのに、その教えを広めていく過程で、方法やシステムができていって二千年が経ち、その末裔の者同士がぶつかっていることが不思議に思えたんです。

「夜を乗り越えて」又吉直樹著

 

このことが本当によくわかります。

もうそれでいいんだと思うしかないんです。神や宗教の話しに正解はありません。ぼくは宗教の中で正解風なことを教えられてきたので、こういうふうに考え始めたときに少し楽になりました。

それから、又吉さんが宗教のシステム云々と言っておられますが、ホントそうですよ。

宗教が組織化されるから必然的に神がキャラクター化されるんです。「我らの神VS我らの神」になって争いが起こる。なんだかなぁって思います。

 

再度引用

キリストという人とお釈迦様がたまたまどこかで出会ってしゃべったら、絶対喧嘩にならないと思いました。

めちゃくちゃ面白いけど考えさせられる一文・・・

今日のStyle

又吉さんの「沈黙」書評を読んで熱くなり、とりとめもなく思ってることを書いてみました。

沈黙も読んでもらいたいし、又吉さんの「夜を乗り越えて」の「なぜ本を読むのか」の項をぜひご一読ください。

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